診療案内

前立腺肥大

前立腺は尿道の奥に取り囲む様にあります。前立腺の発育と機能には男性ホルモンが関与します。前立腺の尿道周囲組織の内腺とその外側のにある外腺に分けられます。前立腺肥大症は中高年の男性に起こる良性疾患で男性ホルモンと年齢に関係しています。治療は内服薬と手術療法です。内服薬はα1ブロッカー(ハルナール、フリバス、ユリーフ)と前立腺容積縮小作用のある5α-還元酵素阻害薬(アボルブ)が使用されます。頻尿症状が強い方(過活動膀胱)には、α1ブロッカーと抗コリン薬、β3交感神経受容体刺激薬との併用などが有効です。数年前よりPDE-5阻害薬の投与が可能となりました。狭心症治療薬の硝酸剤服用中の患者さんには禁忌ですが、重大な副作用もなく効果が期待されています。

前立腺がん

前立腺がんは主に前立腺外腺に発生する悪性疾患です。PSA(前立腺がん特異抗原)検査の普及により、早期がんの発見をすることができるようになりました。症状は、初期の場合は無症状でPSA検査や前立腺肥大症の手術で発見されます。進行すると排尿症状(前立腺肥大症と同様の症状)が出現します。リンパ節や骨に転移したり、膀胱・精嚢腺など周囲組織に進展します。診断は血清PSA値によるスクリーニングを行い、直腸診・エコー検査・MRI等で疑わしい場合には前立腺針生検により病理組織診断を行います。前立腺がんと診断されると、腫瘍の悪性度(Gleason score)とCT、骨シンチグラフィーによる病期分類を行います。治療は手術(開腹、腹腔鏡下、ロボット手術等)、放射線治療(小線源、IMRT,重粒子線等)、内分泌治療、PSA監視療法(無治療で経過観察) など多岐にわたります。最近の報告では、早期限局性前立腺がんに対する治療法に関して、65歳未満および中等度リスクの前立腺がん患者さんは根治的前立腺全摘術の方がPSA監視療法より遠隔転移リスクの低下が認められています。

過活動膀胱

過活動膀胱とは、尿意切迫感を感じることを必須症状とした症状症候群を言います。
尿意切迫感とは、急に起こる抑えられないような強い尿意で、我慢をすることが難しいものであり、普段の尿意とは違いがあります。
下記、症状で1つ以上当てはまる場合は過活動膀胱の可能性があります。
・尿をする回数が多い
・急に尿がしたくなり、我慢が難しいことがある
・我慢ができずに、尿をもらしてしまうことがある

しかし、以下の疾患が認められる場合は、過活動膀胱ではありません。
・膀胱の異常【膀胱がん、膀胱結石、間質性膀胱炎(膀胱痛症候群)】
・膀胱周囲の異常(子宮内膜症など)
・前立腺・尿道の異常(前立腺がん、尿道結石)
・尿路性器感染症(細菌性膀胱炎、前立腺炎、尿道炎)
・その他(尿閉、多尿、心因性頻尿)

過活動膀胱は誰にでも起こりえる症状です。
気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

慢性腎臓病

慢性腎臓病(CKD)とは「尿蛋白陽性などの腎疾患の存在を示す所見」、もしくは「腎機能低下(糸球体濾過量(GFR)が60mL/分/1・73㎡未満)」が3カ月以上持続する状態であると定義されています。
腎臓は、血液をろ過し体内の老廃物を尿として排せつします。体に必要な物を再吸収し、不要なものを排せつすることで体の環境を調節しています。(例えば、暑くなると発汗し尿が濃くなります。冬寒くなると血圧も上昇し、尿が透明に近い状態になります。)また腎臓はホルモンを作ります。血圧を調節したり、骨や血液の量を調節しています。(高血圧は腎障害を悪化させ、腎障害は高血圧を悪化させます。腎不全になると、貧血状態になったり血液中のカルシウムが低下し骨がもろくなります。)
腎臓の状態は尿検査でわかります。タンパク尿や血尿(潜血反応)は慢性腎臓病のサインです。また糖尿病は末期腎不全の原因です。尿糖や微量アルブミン尿の検出により、糖尿病・糖尿病性腎症の早期発見も可能です。

定期的な尿検査で腎臓の状態をチェックしましょう!